802.11ah推進協議会(AHPC)新年のご挨拶

802.11ah推進協議会
会長 小林 忠男



 明けましておめでとうございます。今年も802.11ah推進協議会(AHPC)をどうぞ宜しくお願いいたします。


 AHPCメンバーの皆様、総務省をはじめとする関係各位のお蔭をもちまして、昨年は920MHz帯を802.11ahで使うために必要な様々な活動を行うことが出来ました。

802.11ahの実験局免許を昨年の5月に取得し、5月29日から開催された「ワイヤレスジャパン2019」において日本初の動画伝送のデモを成功裏に実施しました。その後、引き続き横須賀など各地において屋外の伝送試験を行い、920MHz帯を用いた802.11ahは期待通りの特性を確認することが出来ました。  その結果を総務省移動通信課に説明し、国内での規則化へ向けた正式な取り組みが始まったと認識しています。

昨年のAHPCの詳細な活動については こちらをご覧ください。


さて、新年を迎えて、AHPCの総力を挙げ2020年度内に920MHz帯を802.11ahで使えるための規則化に向けて精力的に取り組んで参ります。

昨年末から総務省移動通信課の指導のもと、ARIBの関係者の方と同じ周波数帯を使うLoRa、SIGFOX、Wi-SUNとの共存条件について具体的な議論を開始しており、 なるべく早く共存条件を明確にし一日も早い規則化を実現したいと考えています。

また、800MHz帯の電波を利用したデジタル業務用移動通信(MCA)の周波数移行に伴う現周波数帯の利活用について、802.11ahも使えるように、総務省に積極的に対応していきます。 MCA跡地が利用可能になれば今よりクリアな周波数条件で広帯域の周波数を使うことが期待出来るので、802.11ahの特性を十分に活かすソリューションを展開できると考えています。

AHPCは日本国内で920MHz帯を802.11ahで使えるようにするためにスタートいたしましたが、そのための規則化の取り組みもメンバーの皆さんの積極的かつ 献身的な取り組みによって順調に進んでいると認識しています。


802.11ahをIoT時代の本当に役に立つワイヤレスアクセスにするために、新しい年を迎えてAHPCとして更なる新たな検討を開始しなければいけません。 802.11ahがWi-Fiファミリーの一つとして実際に日本で誰でもが使えるようになった時に、次のようなテーマが浮上してくるでしょう。


①どのようなビジネスモデルで展開するか、どのようなユースケース、ソリューションが最初に考えられるか。これまでも色々なケースを検討していますが更なる深堀が必要です

②誰でも使いたいというサービス、ソリューションをどれだけのコスト、料金で実現できるか。これがある程度明確にならないと導入サイドとして採用を検討することが出来ません

③街の量販店で簡単に入手できるアクセスポイントや端末、デバイスをいつまでにどのように商品化するか。そのための国内外の関連企業への働きかけが必要です

このように、802.11ahの商用化のためにやるべきことはたくさんあります。


802.11ahには既に実用化されているLPWAに比べてユニークな優位性が多々あり、本格的なIoT時代において現在世界中で使われているWi-Fiと共に有力なワイヤレスアクセスになることは間違いありません。

また本格的な5Gの時代になっても802.11ahはプライベート空間において重要なワイヤレスアクセスになると私は確信しています。

802.11ahの実用化への取り組みは日本は後発でしたが、実際の商用レベルでは多様な展開を実現しユーザーに活用していただける最初の活性化市場になるようにしたいと考えます。

やるべきことはたくさんありますがAHPC会員の方々と一緒に精力的に取り組んでいきたいと思いますので、今年も引き続きどうぞ宜しくお願いいたします。