台湾 AIoT-ExにAHPCとして出展してきました

802.11推進協議会事務局
マーケティングTG事務局 森田基康

802.11推進協議会は10月25日(水)から10/27日(金)台北南港展示センター ホール1にて開催された、2023台湾国際電子製造総合展の一つの展示会になる「AIoT TAIWAN」に協議会として出展してきました。
今回の取組みは、AHPCと無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)会員企業の有志が、6月の台北国際コンピュータ見本市(COMPUTEX)への視察と合わせて実施した、台湾工業技術研究院(ITRI)等との「「Wi-Fi HaLow(802.11ah)アライアンスフォーラム in 台湾」」の一環で、11ahにおける日本代表としてAHPCが国内の11ah対応の商用製品を持ち込んで、実際の動く環境で製品説明や日本国内における11ahのマーケット情報、市場活動の情報発信を行うとともに、台湾メーカーの11ahに対しての取組みや台湾の市場状況の情報収集を行いました。
本展示会は複数の展示会を一つの会場を利用して開催する方法で、日本のワイヤレスジャパンとワイヤレステクノロジーパーク等の展示開催と同じようなやり方になりますが、日本の展示会とは少しやり方が異なります。
電子機器製造に関連する展示会を複数開催していますが、それ以外に専門性の高いカンファレンスやセミナーの数が日本の展示会より多いので、来場される方々展示会で実際の物や仕組みを見るだけではなく、カンファレンスやセミナーに参加して専門的な知識や台湾企業の取組みその技術や活動を知ることができる展示会です。


・IMPACT2023
台湾国内における最大規模の半導体実装学会になり、特別セッション、業界セッション、招待講演、優れた論文の発表等が行われるカンファレンスになります。
https://www.impact.org.tw/

・TPCA SHOW2023
台湾国際電子回路産業展になり、電子回路基板技術を核にしたエレクトロニクスの総合展になり、回路基板製造、検査装置、製造業の環境保護、熱管理技術等のテーマで分類され、各製品や技術の展示をしています。
https://tw.tpcashow.com/

・TAITRONICS + AIoT TAIWAN2023
TAITRONICSは台北国際電子産業技術展示会で台湾の電子機器メーカーが一堂に集う展示会となります。またAIoT TAIWANは、台湾国際人工知能・IoT展示会(AIoT台湾)で、IoT技術と製品、クラウドサービス、AI、セキュテリィ等の情報通信産業関連企業が最新技術やサービス等の展示をしています。


今回AHPCとして出展してきた展示会は「AIoT TAIWAN 2023」になり、協議会としてはかねてから親交のある台湾工業技術研究院(ITRI)のご支援を頂き、Cloud Computing and IoT Association in Taiwan(CIAT)のブース内「Wi-Fi & IoT」コーナーで、台湾の11ah関連メーカー等と一緒に展示をしました。
AIoT TAIWANの出展物はICTやIoTを中心に、IoTデバイス&センサー、IoTゲートウェイ、クラウド、5G&ブロードバンド通信、スマート製造、AI、無人化・ロボット、スマートビジネス、スマートヘルスケア、スマートセキュリティ、スタートアップ企業の展示、メタバースエコシステム等、様々な分野の製品やサービスを展示しています。
CIATのブースは会場内でもメイン入口導線のそばにあり、入場口から入ると進行左側のすぐに分かる位置にブースを構えて、出展場所としても申し分のないエリアで数多くの来場者を迎えています。

■会場入口とメイン導線部近くのCIAT出展ブース位置

■CIATブース


展示会の模様

展示会は初日と2日目が日本の展示会で言う、事前登録者のみ入場できる仕組みで、3日目最終日は当日登録でも入場できるように仕組みになっていました。3日間とも開場と同時にかなりの数の来場者が展示会場内に入場し、目的の展示ブースに足を運ぶ人、入口付近のサイズが大きい展示ブースを視察する人等、日本の展示会でよくある午前の時間帯の閑散さを感じさせない盛況な展示会でした。

■AIoT TAIWAN メインゲート前

■カンファレンスのプログラム(一部)

■開場後の模様


AHPC出展~Wi-Fi&IoTコーナーの展示

「Wi-Fi & IoT」コーナーにはAHPCだけではなく、11ahの製品開発や国内市場活動に協力を頂いているNewracom社、台湾ベンダーのAskey Computer社、ALFA NETWORK社一緒に出展しました。AHPC含め各社の展示について紹介します。

AHPCの出展は会員企業のフルノシステムズ社11ah対応の無線ゲートウェイを中心に、ビートクラフト社が提供する11ah対応IoTコンバータで、組込み用カメラの静止画を利用し時計のアナログ情報をデジタル変換して11ahで伝送する仕組みや、11ahでセンサーデータの伝送と可視化する仕組みの展示をおこないました。来場者には11ahを利用するシーンを動く環境で見せて、その利活用方法の紹介を行いながら、日本国内の市場動向や11ahの普及促進に向けた今後の取組みついて説明をしました。

■AHPCの展示ブースと製品


Newracom社の出展は11ahのチップベンダーになるので、展示スペースを最大限活用して様々な11ah対応のアクセスポイント製品やデバイス機器を接続する各種コンバータ製品、USBドングル、11ahモジュール等の展示をしていました。特に11ahとWi-Fi、Bluetoothに対応しているトライバンドAP製品用のベース基板、USB I/Fを実装した11ah対応ドングルのサンプル基板等は、今後11ah対応製品の開発を進めるにあたっては大いに役立つものになります。

■Newracom社の展示

Askey Computer社の出展は日本向けに近々リリースする11ah対応のIPカメラ「CM2301」を中心に、カメラ映像クラウドサービスの展示をしていました。クラウドサービスの映像サービスは、実際台湾街中に設置したCM2301の映像をインターネット経由で見られるLiveデモを実施して、11ahによる動画伝送性能をアピールする展示で来場者の興味を集めていました。

■Askey Computer社の展示

最後にALFA NETWORK社について紹介します。ALFA社は11ah市場の都市部の屋外環境やルーラルエリアにおける11ahの利活用モデルとして、屋外環境でそのまま設置できる耐環境性能の11ah対応AP製品を中心に、チューブ型AP、11ah対応センサー、モジュール製品を展示してしました。筆者が一番気にいった点はALFA社の屋外環境に対しての品質基準と物作りへの拘りになり、機器設置にあたってそのまま製品を設置しても十分に利用できる環境性能を備えていることになります。
■ALFA NETWORK社の展示


CIAT出展エリアの他展示物

CIATは業界団体になり、5G、AI、セキュテリィ、ドローン等の分野を中心に180社弱が加盟していいます。AHPCの「Wi-Fi & IoT」コーナー以外に、韓国企業のコーナー、セキュテリィ関連コーナー、5G関連のソリューションコーナーがあり、様々なシステムやソリューション、機器等の展示をしていました。
その中で国内11ah市場の普及を進めるために役立ちそうな展示物が2つほどありましたので、ここで紹介したいと思います。

1つ目はITRIが取り組んでいるスタートアップの展示物で「Janus IOT cyber security solution」というセキュテリィ関連の認証アブラインになります。ネットワークノードに設置~認証設定等をすれば、直ぐに各種端末やデバイス等全般に対しての認証システムを導入することができるモノになります。アプライアンス側(クラウドとも連携)で各種接続する端末カテゴリ別で認証環境の設定を行えば、その端末機器に合わせた認証をすることが出来る仕組みになり、11ahの端末やデバイス通信の暗号化によるセキュテリに加えてこの製品とシステムを利用すれば、デバイス等の端末MACアドレスによるデバイス認証する仕組みを簡単に構築でき、自治体等の導入時に必ず話がでるセキュテリィポリシーのレベルにも十分に提案が可能だと感じました。

2つ目は台湾遠傳電信公司(FET)が展示していた、災害時の信号機用バックアップ電源と電源マネジメントシステムになり、可搬対応が可能な災害時のバックアップ電源の仕組みになります。当然バッテリと制御する機器が可搬型である点も見逃せませんが、このシステムの注力すべき点は電源マネジメントのシステムがクラウド連携されていて、そのシステムが秀逸であることです。
災害時利用という背景もあり、信号機を正常稼働させることがこのシステムの生命線になるので、災害時でも確実に信号機が安定稼働して交通網に影響が出ないよう、マネジメントする仕組みになっている点が素晴らしいと思います。
■ Janus IOT cyber security solution 認証アプライアンスと可搬型バッテリシステム

■台湾遠傳電信公司(FET)バッテリシステム


展示会全般の出展について

展示会場内の視察をした際、11ahだけではないがIoTやデバイス視点で情報収集をしてきました。

農業IoT分野のシステム
IKUEI社が温湿度、日照、土壌温度(電導度や水分量含む)、風速・風向き等を測定可能なセット商品を展示。インフラとしてはNB-IoTを利用してクラウドにデータ送信するパッケージ。話を聞くと以前はLoRa WANを利用していたが、LoRaはゲートウェイのコストがかかるので、NB-IoTに変更しランニングコスト的にも月額数百円のSIMで安価で利用ができているとのことです。

■IKUEI社セット商品の展示

LPWAモジュールの展示
Allkym社 LaRa、Wi-Sun、Sigfox、NB-IoTの通信に対応しているモジュールの展示をしていました。
ESMT社でも同様にLPWA用通信モジュールを展示していたが、こちらは自社開発で920MHz帯通信規格は利用しているが独自規格になり、200mで2Mbps、1000mで100kbps程度のスループットが得られるとのことで近距離での通信性能が良いモジュールになります。既にFAやロジスティクス、リテール等、様々な環境で利用されているとのことです。

■Allkym社のモジュール製品展示


医療用端末機器
SYSCOMグループ社「凌群電腦」の展示ブースの一角では、医療分野に特化したベットサイド端末の展示がされていました。日本の医療機関における病床ベットサイド端末は、入院患者向けのサービスとしてインターネット接続やナースコール用途等で利用するため、タッチパネル対応液晶モニター製品が大半を占めているが、このSYSCOM社の端末は何とWi-FiないしBluetooth対応の「電子ペーパー」を利用しています。
確かに医療用ベットサイド端末の目的として、先生や看護師による巡回時に利用する表示端末に限定すれば、タッチパネル機能付き液晶モニターは不要なモノとなり、電子ペーパーを利用した端末も有りだと感じました。また電子ペーパーを端末利用するメリットとしては、省電力化ができボタン電池やバッテリ駆動が可能になる点、端末自体が小型軽量化することが可能となり設置の自由度や落下破損等の恐れも軽減できはずです。

■電子ペーパーを利用したベットサイド端末


小型センサーデバイス
TENMARS「世駿電子」のブースでは様々なテスター機器が展示されていました。世の中にこれだけのテスターがあるかと思うくらいの品数で、色々とセンサーを利用した計測するニーズがあると改めて思ったところです。但し殆どの機材がハンドタイプや据置型の物になり、人が測りたい場所にテスター機器を持ち込んで作業をする機材になります。
その中でも11ahに対応すれば直ぐにでも利用できる製品が何点かありました。
1つが温湿度データロガー、温湿度+PM2.5のロガーになります。これらの製品はバッテリ駆動を前提に据置環境で定点監視を目的としているので、人がデータを確認する以外に通信機能としてWi-Fi等にも対応した製品があるとのことでした。製品の筐体としてもデザイン性があるので、耐環境性能への対応と11ahのモジュールを実装が出来れば、国内向けの用途でも十分に利用できるはずです。

■テスター機器とバッテリ駆動対応小型データロガー製品


台湾AIoT-Exの出展と視察を終えて

まだまだお伝えしたいことは山ほどあります。会期中にイベント主催者が誘導して企業や企業団体を引率して説明する取組みへの対応、新聞含めたメディアの取材対応もあり、日本国内の展示会ではなかなか経験することができない対応も実施しました。かなりコンパクトに展示と視察の内容をまとめさせて頂きましたが、現地に行って感じたことは台湾ベンダーのモノづくりに対しての考え方、モノだけでなく仕組みやソリューションとして「モノに付加価値をつけて提供」する考え方は、日本の通信キャリアやインテグレータ、モノづくりをするメーカーは参考にすべきところがあると感じました。
来年の6月には台北国際コンピュータ見本市(COMPUTEX)が開催され、その後10月~11月にかけて「AIoT TAIWAN」含む台湾国際電子製造総合展が開催されます。
是非、会員企業の皆さまも何れかの展示会に視察に行き、出展している各企業の情報収集と情報交換を実施して、国内における11ahの市場醸成と拡大に向けた取組みに役立てて下さい。