802.11ah推進協議会
台湾出張参加者
2024年6月4日から7日にかけて台北・南港展覧館にてCOMPUTEX2024が開催され、時期をあわせて6月5日にCOMPUTEX会場内にて「5G&Wi-Fi SYNERGY UNLOCKING NEW OPPORTUNITIES」、6月6日にCIATにて「Wi-Fi HaLow Development Forum 2024」が開催されました。一昨年に制度化された802.11ahの普及と多様な端末の商品化を促進するため、台湾の製品ベンダ、オペレータと意見交換を行ってきましたので報告します。また、COMPUTEX2024はNVIDIA CEOの台湾出身Jensen Huang氏が基調講演で登壇したこともありとても盛況でした。
5G&Wi-Fi SYNERGY UNLOCKING NEW OPPORTUNITIES
開催日時:2024年6月5日 13:30~17:00
開催場所:Computex会場内会議室
開催スケジュール
■ 開会挨拶
AHPC 小林会長
・現在開催されているComputexでは、NVIDIA / Qualcomm を中心としたAI PCがハイライトされている。しかし、そのAI PCもネットワークが無ければ役に立たない。すなわち、新しいテクノロジを支えて進化させていくのがネットワークの技術なので重要な役割を担っている。本日の開催に関係した全ての方に感謝する。
■ Private 5G and Wi-Fi Convergence of NTT East
講演者 :NTT東日本 無線&IoTビジネス部 渡辺部長
講演内容:
NTT東日本の無線関連の取組みが紹介されました。
・NTT東日本はWANサービスからLANへサービス提供範囲を広げている。そのLAN回線の先にカメラやロボットを接続し課題解決型のビジネスを実施している。
・これらのビジネスにおいて、L5G、Wi-Fi、LPWA等の様々な無線方式をベストミックスで提供していくことが重要。例えば、ギガらく5Gは製造業等で使われ始め、学校や公共スペースでも利用シーンがある。更に、屋外のプラント、建設現場、港湾、空港で使われ始めている。
802.11ahは農場での盗難や不法投棄を監視するため、カメラ映像を通じて確認できたり、ゴルフコースの芝の状況、林業などの用途で活用を検討している。
・東京にL5G,11ahのデモ用の施設があるので見てほしい。また、構内通信(LAN)は無線を組み合わせてベストミックスで実現していく。台湾の皆様の協力が必要なので是非協力して欲しい。
・講演後、台湾メンバと以下の質疑応答がなされた。
Q1:802.11ahを日本でプロモートする上での課題は何か?
A1:端末デバイスを容易に選択できる環境整備が必要であり、台湾ベンダと協力して進めたい。
Q2:様々な方式を組み合わせたマルチNWのマネジメント上の課題は何か?
A2:まずはそれぞれのマネジメントをしっかりやることが重要であり、理想としてワンオペレーションを実現したい。
Q3:L5Gのセキュリティを重視する企業に対するアプローチ方法は?
A3:5G無線方式自体が高度なセキュリティ機能を有しており、まずはここから丁寧に説明する。
(セッション会場)
(NTT東日本 渡辺部長)
■ The Implementation of 5G and Wi-Fi Collaboration as a Mobile Operator
講演者 :FET James Lee(VP),Xavier Tu
講演内容:
1. デジタル変革と 5G および Wi-Fi ネットワークの統合(James Lee氏)
・APD と Far EasTone Group の紹介
Far EasTone Groupは1937 年に設立され、繊維、石油化学、小売、建設、輸送、銀行、ホスピタリティなどの 10 の産業を手掛けるグループ。その中で、Far EasTone Group傘下の企業であるAPDの紹介。
・モバイルネットワークの進化
モバイルネットワークの進化について、3G時代のトラフィックの緩和と4GおよびVoLTEサービスの開始にしたがWi-Fiの重要性が増している。また、プライベート5Gが台湾にて2021年に開始され、新興企業のデジタル変革に大きく貢献している。
・Wi-Fiと5Gの統合
ユーザにとって、Wi-Fiと5Gをシームレスに統合することが重要。5Gサービスのオペレータは、医療、製造、輸送、スマートシティなど、さまざまな分野でITおよびIOTソリューションを提供している。
2. Wi-Fiと5Gネットワークの統合とコンバージェンス(Xavier Tu氏)
Wi-Fiと5Gネットワークへの統合の課題について、統合認証、セッション制御、および同じターゲットネットワークへのサービス提供が必要。
統合認証はセルラーメカニズムを使用しWi-Fiのセキュリティを強化することが必要、セッション制御は特に異なるHSS間のIPセッションの転送が重要、これらのターゲットネットワークとしてセルラーネットワークとWi-Fi ネットワークを統合することが重要。
また、ケーススタディとして製造業、建設業、警備関係に展開している。
3. 3GPPで5Gコアにuntrustedなnon-3GPPを収容する規定(N3IWF)があり検討している。
(James Lee氏)
■ The Opportunities for New Generation of Wi-Fi in Japan Market
講演者 :AHPC 小林会長
講演内容:
AHPC小林会長から日本市場におけるWi-Fiの新たなビジネスチャンスについて講演がありました。
・Wi-Fiは高速化し増加する需要に対処してきたが、利用する電波は混雑しており電波のチャネル争いが起きている状況
・Wi-Fi 4からWi-Fi 7への技術革新により年々増えるトラヒックに対処してきており、日本には5000万台のAPがある。
・Wi-Fi 6Eで6GHzを使えるようになったのは画期的であり産業としてはAPの更改に大きな需要がある。また、Wi-Fi7は楽しみだし課題もあるが大きなビジネスチャンス
・プラチナバンドの11ahはWi-Fiと比べて広いエリアをカバーする。特徴として1.広域、2.長時間通信が可能、3.多数接続が可能なのでIoTに最適であり基地局も数が少なくなる。4.セキュリティもWi-Fiと同様で安全。
・11ahはWi-Fi 6/7の延長線上ではなく、革命的な進化をもたらす規格。新たなソリューションをもたらすもの。
・11ahの市場規模、スマート農業、スマートシティ、工業自動化、ヘルスケア、スマートホーム等$15億の市場であり、11ahは5年で$32百万の需要が見込まれる。
・学校や牧場、街中でもWi-Fiのエリア外のところがある。そこをahでカバーすることによりビジネスが可能でありアプリによってはスループットがいらないケースもある。
・日本では850MHzの追加を制度化検討中で、数年後に15MHz幅、200mW化、10%dutyなしを期待しており、そうなると車やスマホに入るだろう。世の中が大きく変わる。
・ahとWi-Fiも相互補完、セルラーとも相互補完関係のため、今後も発展が継続する。
・11ahの課題としては端末、デバイスの少なさが課題。台湾の方々に端末を作っていただいてWin-Winとしたい。リスクを負って製品化、サービス化、市場を作っていきたい。
(小林会長)
■ Exploring a New Era of Hybrid Networks with Wi-Fi HaLow
講演者 :Newracom VP Frank Lin
講演内容:
NewracomのFrank氏より、Wi-Fi HaLowによるハイブリッドネットワークの新時代について講演
がありました。
1.11ahのテクノロジによりエリアの拡張と接続性の改善が提供されたことで、セルラー、Wi-Fi、Bluetooth、LPWA などの既存のテクノロジを補完することができる。
2.11ahが従来のソリューションを接続するためのミッシングリンクとして機能し、セキュリティ、環境情報、ユーザーエクスペリエンスを強化できる。
3.最新の開発状況としてSoCやシステムオンモジュール(SoM)ソリューションなど、11ahテクノロジを開発および導入するためのさまざまな企業とのパートナーシップを進めている。
4.検証を日本と台湾で進めており、さまざまな環境での11ahテクノロジの安定性と信頼性を実証中。エリアとしては最大2.5Kmの長距離接続を提供できる。
5.ユーザの使用事例としてビジネス向けのSUNMIのHyper-Wi-Fiソリューションや、範囲拡張とマルチ無線サービス向けのSonyのSpringSenseソリューション、また、村田製作所とのパートナーシップなどがある。
6.将来の成長に向けては、製品とソリューションの開発のためにパートナーとグローバルエコシステムを拡大させたい。
(Frank Lin氏)
■ Japan/Taiwan Solutions Showcase
Solution Showcaseとして次の5社から講演がありました。
beatcraft社、MegaChips社、Askey社、Ataya社、Inventec社
講演者 :beatcraft:竹本社長
講演内容:
技術革新とパートナーシップによる機会の創出の講演がされました。
・beatcraft社のコアテクノロジ
beatcraft社は、IoT、AIの研究開発と、システムの提供をしている。例えば、細胞検査用に開発した特殊な顕微鏡や、乳牛向けIoTセンサシステムがある。牛の健康状態をモニターして、牛乳生産の最適化を実現している。
このプロジェクトは2020年に第8回ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞を受賞した。
・AIと11ah戦略
AIと11ahを組み合わせることで新しい市場が生まれると考えている。
無線通信の距離が長くなれば、これまで入手できなかったデータが集まり、新しいAIアプリケーションが必要になる。
・2019年以来、多くのPoCやフィールドテストをパートナーと実施し、今後もパートナーシップが重要だと認識している。特に新しい市場では新しいパートナーを探している。
(beatcraft 竹本社長)
講演者 :MegaChips 東郷氏
講演内容:
MegaChips社の紹介とWi-Fi HaLowの事業について説明がありました。
MegaChips社はMorseMicroの日本国内代理店であると共に、Morse Micro社のチップを使用した2種類のモジュールをリリースしている。
また、以下のユースケースを想定し実施している。
ユースケース①:スマート工場
Wi-Fi HaLowは、サブ1GHz周波数を使用して工場の無線信号の問題を解決し、AGVやロボットアームの管理・制御を改善した。
ユースケース②:EV充電器
同一敷地内すべてのEV充電器をWi-Fi HaLowで接続し、LTEに接続した1つのahゲートウェイのみで構成することにより、LTE通信コストを削減した。
ユースケース③:建設現場
建設現場の自動化と監視のため、日本の建設業関連企業とWi-Fi HaLowの現地テスト行っている。
ユースケース④:LTE電波のない場所
Wi-Fi HaLowは、トンネルや地下駐車場などLTE電波のないエリアでのコミュニケーションを可能にする。現在実用化に向けて日本でテスト中である。
フィールドテスト結果として、河川敷では1kmの距離で約1Mbpsの速度を計測できており、トンネル内でも距離500mで1Mbpsの速度を計測できた。また、映像伝送では1kmを超える距離においてスムーズなVGAサイズの映像+音声の伝送が実証された。
MegaChips社は日本でのWi-Fi HaLowの普及を目指している。台湾の継続的な協力に感謝している。
(MegaChips 東郷氏)
講演者:Askey Alex Chou氏
講演内容:
・Askey社とその製品の紹介
最初にAskey社の紹介後に、垂直ソリューションにおける役割と台湾と日本でのLMH製品の発売についてのアナウンスがありました。エッジ技術を備えたIoTゲートウェイを強調しました。
・5GとWi-Fi の相乗効果
5GとWi-Fiの相乗効果についての説明があり、Askey社の主力プロジェクトと現代のビジネス環境向けのプライベート5Gネットワーク ソリューションに関するビデオ紹介がありました。
・AIと5Gネットワーキング
AIがデジタルトランスフォーメーションを加速するために5Gネットワークが必要であり、NVIDIAのCEO Jason Wang氏と共同で、生成AIアプリケーションにおけるプライベート5Gネットワークでのデータを収集しシミュレートしてフィードバックするなど検証を実施している。
・デジタルツインの概念企業にデジタルツイン環境を実装するため、インフラストラクチャソリューションが必要。
・企業におけるプライベート ネットワーキング
今後、自律型ネットワークが重要であり、企業においてプライベート5Gネットワークが必要であり、ASUSやD-LINKなどの企業とコラボレーションしている。
・ネットワーク実装におけるセキュリティ
ネットワーク実装におけるセキュリティも重要であり、安全なソリューションを確保するための事前統合サービス(?)とパートナーとのコラボレーションに重点を置いていく。
・マルチアクセスネットワーク
さまざまなアプリケーション向けに5GとWi-Fi を組み合わせた、企業内のマルチアクセスネットワークを開発していく。
(Askey Alex Chou氏 )
講演者 :Ataya社 Li Fung氏
講演内容:
・Ataya社の紹介
Ataya社は、2021年に設立された。
・製品の概要
Ataya社には、Harmony と Chorus という 2 つの主要製品がある。Harmonyは、Wi-Fiと5Gの共存をサポートするネットワークソリューション、Chorusは、5G APに似たWi-Fi APであり、クラウド管理システムの機能がある。
・Harmony製品の詳細
Harmonyは、既存のソリューションを中断することなく、Wi-Fi と5Gをシームレスに統合するソリューション。Wi-Fi、有線、エンド デバイスを管理するための単一のマネージプランとダッシュボードを具備している。また、ゼロトラストポリシーの適用と、クラウドネイティブソリューションによるネットワーク操作の簡素化も実現している。
・Wi-Fiと5Gとの共存
5G クライアントが普及している環境でWi-Fiと5Gの共存をサポートするソリューションがある。このソリューションでは、ユニバーサルゲートウェイを使用して Wi-Fiトラフィックを5Gネットワークにブリッジする機能がある。
・トラフィック管理
フェイルオーバー、負荷分散、デュアル接続などのトラフィック管理機能により、信頼性が向上します。Wi-Fiと5G間のシームレスなハンドオーバーが可能となっている。
・スマートファクトリーの実装
既存のWi-FiおよびBluetoothのテクノロジを用いて、スマートファクトリーに5Gテクノロジを導入している。既存のインフラストラクチャを置き換えることなく、信頼性、安全性、およびリーク防止機能が向上した。また、統合ゲートウェイ内のAIモジュールを使用して、スマートファクトリーデバイスに AIを統合することが可能となっている。
(Ataya Dr. Li Fung Chang )
講演者 :Inventec社 Evan Chien Director
講演内容:
リモート アシスタンスとインテリジェント検査ESOPやリモート アシスタンス、AR グラスを使用したインテリジェント検査など、スマートファクトリーにおけるAIアプリケーションの例の紹介がありました。
・リモートオペレータのトレーニングや、機械検査のためのリアルータイム情報の提供に利用
・監視と安全性ジェスチャーやサイクリング監視、人手不足の検出、死活監視など、監視等にAIを使用し提供している
・ガス会社や石油会社での欠陥検出などの例もある
・繊維検査用の AI コンピュータービジョンソリューションを導入しており、さまざまな生地の欠陥検出の精度が向上した。
などの説明がありました。
<Inventec Evan Chien氏>
■ ITRI展示ブース視察(COMPUTEX会場)
ITRI(Industrial Technology Research Institute)
台湾の工業技術研究院の略称で科学技術の研究開発機関。台湾政府経済部の直轄下にあり研究者数は約6,000人との紹介がありました。
入口のポール型LEDディスプレイ、航空機型大型ドローン(魚群探知実証)に多くの関心が寄せられていました。
Wi-Fi HaLow Development Forum 2024
2024年6月6日 CIAT会議室にてWi-Fi HaLowに関するセッションを実施しました。
■ 開会挨拶
AHPC 小林会長
CIATへ本日の感謝とともに、日本における11ahの状況を紹介しました。
昨年6月1日にCIACとAHPCのメンバが会合を行い、その後も様々なイベントやミーティングを開催してきたことが報告された。先週のワイヤレスジャパンでもHaLowのブースに沢山の来場者があった。
ah対応の端末も増えており、あわせてahに関する受注も増えている、日本の市場は大きくなっているので期待して欲しい。
CIAT Robert氏
ITRIとCIATがAHPCのメンバになったことを報告するとともに。AHPCメンバを台北に招待出来て嬉しいと歓迎の言葉が述べられました。
CIATのメンバが180名おり、台湾の大手アプリケーション企業がCIITのメンバとして参加している。AHPCは、日本の大手企業や有力企業など、多くの日本企業が参加しており協力することが有益である。
最後に、本日の開催に多くの準備をしてきた関係者に感謝する。
(小林会長) (Robert氏)
■ Introduction of Japan’s 802.11ah use cases, application and business expansion challenges and requests for Taiwanese companies
講演者 :AHPC 森田 マーケTG主査
講演内容:
森田AHPCマーケTGリーダーから11ahのユースケースの紹介と台湾ベンダへの要望についてプレゼンテーションがありました。
・Wi-Fi HaLowの特徴
従来Wi-Fiと比較して遠くまで届き、従来のLPWAと比較して伝送容量大きいこと、また実装の際アンライセンスであること等、HaLowはユースケースが広がりIoTの世界が変わる可能性がある。また920MHz帯で1,2,4MHzモードがありお客様のニーズや設置環境に合わせたネットワーク設定ができ点も実装には有効。
・マーケット
当初想定した市場をベースに立ち上がりつつある。地域のIoT(学校、農業党)で社会実装が始まっている。新たな市場からの導入検討の話しも多数あり、医療や介護、ホームユース、物流、宅配分野などにも今後HaLowが広がって行く。
・事例を4件紹介
1)観光分野
湖の水上管理、水質管理、機能を検証するため中継機能等を利用した環境構築を実施。湖上の監視をリアルータイムで実施することができた。設置に当たっては電源環境が課題であったがソーラーバッテリを利用して設置したことでその問題もクリアし、従来実装が困難であったLTE圏外におけるセンサ、映像による監視や計測をHaLowで実現できた。
2)農業分野
既に実証を完了し社会実装を展開中。お茶畑の監視用途としてHaLowを使って実施し、害虫の除去を中心に、各種センサデータから最適な換気、水まき、温度調整が可能が実証。害獣は画像データを農家に転送し駆除作業にて大きな成果を上げ、現場による作業軽減や1日3回の見回り作業をなくすことができた。
3)産業分野(工場)
CO2の見える化を実証し、工場等の劣悪に環境下であっても複数のセンサを設置して、そのセンサデータを収集し、見える化を実現できた。今後FA市場のHaLowによるIoT実装は期待できる。
4)レジャー分野(ゴルフ場)
ホールの状況確認、人が回って管理することの効率化を実証。ゴルフ場は見通しが取れないエリアが多数あり、それに対して中継機能を利用したネットワークを構築し、対象となるエリアの通信路を確保した。実装効果としてLTE不感地帯におけるネットワーク環境を構築し、従来Wi-Fiで実装した場合の費用と比較して1/2のコストで実装ができた。
・台湾ベンダへの要望
1)エッジ処理ができるインテリジェントG/W製品
2)デバイスや端末製品の増加
3)USBドングル等既存デバイスをHaLowに接続するコンバーター製品
4)クラウドの仕組みとデータを可視化するプラットホーム
これらの製品を市場提供するため、団体協業含め協力体制で取組みを進めて行きたい。
(AHPC 森田リーダー)
■ NTT East's 802.11ah business strategy
講演者 :NTT東日本 無線&IoTビジネス部 渡辺部長
講演内容:
11ahを中心にNTT東日本の無線関連の戦略の紹介がありました。
・NTT東日本はWANからLANのサービスを展開。労働力不足に貢献するソリューションを提供していく。
・そのなかで、11ahには非常に期待しており、特に無線のマルチユースを意識し以下のようなケースを展開している。
1)農場の不法投棄、盗難対策、鳥獣害対策のため11ahを活用
2)漁業向けに海上で11ahを利用。AP~カメラの距離は1kmあり映像も伝送した実績
3)工場にて古いガスメータのメータ読み込み数値をAIで解析しデジタル化
4)ゴルフ場
5)川の水位監視。従前は大雨の水位の様子の把握は難しかったが、11ahは映像があるので分かり易いと好評
6)林業向けにはバックホールに衛星を活用して11ahで山の中をエリア化
・方針の説明:地域でマルチユースのNWでソリューションを提供しビジネス化したい。
・台湾の皆さんへの依頼:デバイスのラインナップを増やして欲しい。昨年からの協力で多くなってきたので引き続きよろしくお願いしたい。特に、電源が取れないところでの省電力を期待している。ソーラーパネルのみで動作するのが好ましい。
・日本でも11ahは徐々に広がっているおり認知度向上。規模を大きくしていきたい。
(NTT東日本 渡辺部長)
■ Japan's 802.11ah future trends
--- New frequency development in the 850MHz band and its potential
講演者 :NTTアクセスシステムサービス研究所 鷹取上席特別研究員
講演内容:
802.11ahの将来動向として850MHz帯の制度化状況やポテンシャルについて説明がありました。
・IoTの要求条件として、エリアカバレッジ、スループット、接続性、コスト等があり、現在の日本のレギュレーションを紹介
・日本のレギュレーションにあるDuty制限を遵守し、連続的な長時間の動画転送などを可能にする設定方法を紹介
・NTT東日本渡辺部長の講演にもったように、農業、学校、工場などへの適用、更にはより多様化し物流、工場に市場は拡大していくだろう。さらには、新市場として、オフィス、ホームへの展開も見込まれる。
11ahはより、2.4/5/6GHzのWi-Fiのように使えるようになるだろう。より多様なデバイスの展開が期待される。
・このような市場拡大に対応するためには、利用可能な周波数の拡大が必須。日本では850MHz帯の845MHz~860MHzの新無線システム(11ahとMetropolitan Beacon System (MBS))への割当て検討が今年の4月から総務省の作業班で開始された。
・作業班では、AHPCは①duty制限なし、②200mwの高出力モード、③8MHz幅を要望している
・当該周波数帯にはデジタルMCAシステムが利用されているが、2029年に別周波数に移行する予定。AHPCは移行期間中での利用開始も要望しており、845-850MHz内でGBを設定して運用するなど、早期の利用開始を実現したいと考えている。
・11ahで使える周波数を拡大するためには、隣接周波数帯への干渉を抑える、良好なRF特性を持つデバイスが必要となる。
・まとめ
1)日本では一昨年に制度化し利用を開始したが端末のバリエーションがまだ限定的。オフィスやホームなど新たな市場への展開もみすえ、バリエーションをさらに広げていけるとよい。
2)850MHz検討を開始。2029年の完全移行時には845-860MHz帯(必要なGB、MBSとの共用条件は検討中)での利用が可能になる見通し。完全移行前に、無線システムが運用されていない、845-850MHz(必要なGBは検討中)での利用など、早期の利用開始にも取り組んでいる。
(NTT AS研 鷹取 上席特別研究員)
■ Approaches to New Generation Wi-Fi Solutions incl. 11ah in Taiwan
講演者 :Chun Chen-Chang/CIAT 5G IoT SIG Wi-Fi Applications WG Leader
講演内容:
台湾における11ahを含んだ新たなWi-Fiソリューションの展開について説明がありました。
1.CIATに設立された5G IoT SIG Wi-Fi アプリケーション WGの背景とその主な目標について紹介。
設立から 2 か月以内に多くの支援を受けている。
2.Wi-Fiと5Gは、長期的には補完関係になる。Wi-Fi製品については性能向上により台湾市場への多くの影響がある。例えば、国際特許出願における台湾の件数の少なさなどの弱点であり課題である。また、5Gの活用の例としては、蘭の生産効率を向上させる方法があり、そこでもWi-FiとL5Gは補完関係にある。
3.ネットワーク管理システムは複雑であり、それを一元的に管理するアプリケーションがある。
・公立病院向け信号シミュレーション
・温室環境の調整におけるAIプラットフォームの応用
最後にアプリケーションサービスチームの紹介がありました。
■ Wi-Fi HaLow development trends and market prospects
講演者 :Frank Lin Newracom VP
講演内容:
Wi-Fi HaLowの開発状況とマーケットについて説明がありました。
1.Frank は最初に会社紹介、自己紹介を行うとともに11ahの特徴として従来のすべてのWi-Fi規格に対応することと、さまざまな無線技術間でシームレスな接続を提供する可能性について説明
2.IoT展開にあたり4つの主要な課題①スケーラビリティ、②互換性、③実装速度、④使いやすさ、がある。これらの課題に対処するにはパートナーシップが必要。
3.Newracomの第3 世代製品である NRC 7394 SoCを紹介する。多くの顧客がSOM(システム オン モジュール)を開発するために導入
4.フィールドテストと実際の使用例として、屋内施設、地下駐車場、モビリティセグメントなど、さまざまなシナリオでのフィールドテストの結果を共有し、11ahテクノロジの信頼性と使いやすさを実証できた。
5.また、パートナーシップコラボレーションとして、サミット、ASIP、ソニー、村田製作所などの企業とのノルディコムのパートナーシップについて説明し、共同プロジェクトとさまざまなアプリケーションでの11Hテクノロジを導入した。
6.市場拡大と将来の動向として、テレマティクスやその他のセグメントでの11ahの導入、およびノルディコムのグローバルパートナーエコシステムにより市場拡大していると考えている。
今年後半または来年初めに、台北の三昌リビングパークに11ahソリューションの導入を予定しており、ASIPのSOMソリューションが利用可能になる。また、日本の村田製作所などとの共同プロモーションも実施する。
■ Taiwan AH Solutions Showcase
Taiwan AH Solutions Showcaseとして、台湾ベンダの4社からプレゼンがありました。
1.Techware Technology社
2001年に創業し、現在はネットワークデバイスを開発している。ネットワークおよびIoT製品とそのアプリケーションを紹介する。SBC700 HaLow Gateway、Halo Blue、Eth HaLoの3つの製品を紹介。
・SBC700 HaLow Gatewayは、センサデバイスとクラウドサーバー間のデータ転送を効率化する11ahを搭載した産業用通信ゲートウェイ。
・HaloBlueは、BluetoothとWi-Fi HaLow搭載し、多彩なI/Oインターフェースを持ち、AIによるエッジ コンピューティングをサポート。
・応用例としてウェザーステーションを紹介。データ収集と監視に11ahを使用。
(Techware Technology)
2.ALFA Networks社
ALFA Networks社と製品の紹介がありました。
・Newracom NRC7394を搭載した小型低電力モジュールAHST7394Sを使用した水位センサ、地震センサなどのさまざまなIoT製品を提供している
・アプリケーションには、セキュリティ ネット、電力監視、スマート交通システムなどがある。パリオリンピックでWi-Fi HaLowを使用してアリーナのカメラを制御を実施予定。
1)セキュリティネット(侵入監視赤外線センサ)は、建設現場や工場内を監視するためにWi-Fi HaLowモジュールを使用
2)水監視センサは、台北市の地下水位を監視するために使用
3)電力監視システムは、11ahモジュールを使用し、データをサーバーに送信し、分析
4)農業アプリケーションにおいて、EUと台湾で機器の監視と制御に使用
5)台湾のスマート交通システムに使用され、AI ベースの監視と制御を提供
(ALFA Networks)
3.uConnect社
uConnect社のFuelTech Web サイトを紹介がありました。また、同社の製品の紹介がありました。
(uConnect)
4.AcSiP社
AcSiP社の紹介がありました。
・2009年に設立され、現在の製品は SIPモジュール、Shady モジュール、および OEMおよびODM顧客向けの製品に重点を置いている。
・Wi-Fi HaLowに関し村田製作所とコラボレーションを実施、さらなるアプリケーションを開発する予定。
・Wi-Fi HaLow、STM、LoRa、Wi-Fi および Bluetooth 用の MTK を含む、ソリューションをすべてカバー、Morce Microと協力しトータルソリューションを開発を実施
今後、Ethernet to HaLowおよび USB to HaLowの製品は、第3四半期に発売される予定。
(AcSiP)
■ 閉会挨拶
CIAT Robert氏
本日の講演を纏めて話をされました。
・日本はさまざまな分野でデジタルアプリケーションをリードしており、IoT、クラウドコンピューティング、AI、セキュリティの分野において台湾と日本の協力が重要。また、NTTやAHPCなどの主要メンバは、この取り組みで重要な役割を果たしている。
・日本では、観光、教育、農業、建設などさまざまな分野でデジタルアプリケーションの開発を実施し展開している。また、新たに新周波数帯域850MHz帯の検討が紹介された。
本日の講演で、IoTの重要性クラウドコンピューティング、AI、セキュリティ、衛星、ドローン技術と並んで、IoTは非常に重要であると認識した。
・台湾と日本のコラボレーションが期待されており、CIAT Wi-Fiアプリケーションワーキンググループの設立により、より多くのコラボレーションを期待している。
・5GとIoTは、ローカル5G、11ahの導入に伴い、非常に重要なものとして強調された。
また、通信事業者とクラウドデータセンターは、デジタルランドスケープの重要なコンポーネントとして紹介され、さらに、AIとクラウドコンピューティングは、重要な焦点領域だと説明があった。あわせて、セキュリティと衛星技術もデジタルランドスケープの重要な領域。メタおよび SR (空間現実) 技術は、デジタルの進歩の一部として言及された。
・台湾では、デジタルソリューションを紹介および促進するために、年間100件を超えるイベントを開催している。
今後とも、協力していきたい。
AHPC 小林会長
・森田さん、渡辺さんも端末が少ないので台湾メンバに協力してほしいと講演していたが、端末が少ないのは日本の思い込みであり、台湾の努力、製品に感銘を受けた。Frankさんに貴重なアイディアをいただき、セミナーを企画して日本の関係者に紹介する機会をつくりたい。協力をお願いする。
・ahはWi-Fi6,7の延長線上ではない、全く違う方式。100mしか飛ばないWi-Fiと違い、ahは全く違う基盤となる。これからも一緒に頑張っていきたい。
■ 台湾CIAT(Cloud Computing and IoT Association in Taiwan)の展示
会議室フロアの一部にCIAT加盟企業等の展示ブースが隣接しており、クラウド、AI、11ah等に関する技術を紹介がありました。また、AHPCとして本年4月から国内11ah製品の展示を開始しています。
土壌センサ(温度、湿度、Ph)やレーザー式水位検知センサと11ahとを組み合わせたシステム、USB接続型11ah端末など実用を視野にしたプロダクトが数多く見受けられた。
CIAT加盟企業等の展示コーナ AHPC展示ブース 台湾11ahプロダクト(一部)
■ COMPUTEX2024参加報告
COMPUEX2024にも参加してきましたので、主に802.11ah(Wi-Fi HaLow)の製品について報告します。
開催期間:6/4~6/7
開催場所:台北・南港展覧館(南港エキシビションセンター)
COMPUTEX台北 2024
■ COMPUTEX ALFA NETWORK展示ブース
newracomとモースマイクロチップ別の端末 各種11ahセンサ情報の表示
土壌センサ 11ah水位検知センサ対向11ah親機 風速+風向センサ
■ COMPUTEX Edgecore Networks展示ブース
Wi-Fi6+LTE+11ah+Bluetooth Wi-Fi6E屋内ルータ
全部入り!ルータ 裏面構造が特徴的であり、
LANケーブル配線を本体が
完全に隠す構造。
(LANケーブル盗用防止)
■ COMPUTEX Askey展示ブース