「802.11ah最新プロダクト紹介セミナー」の開催報告
~商用化から1年以上が経過、Wi-Fi Halowの社会実装に向けて~
802.11ah推進協議会
2024年9月12日に、日本と台湾を結び、台湾メーカー等が開発している802.11ahの最新プロダクト紹介セミナーが開催されました。ここ最近、非常に多くの802.11ahの基地局、端末等の製品が開発、商品化されており台湾から7社、中国から1社がプロダクトの紹介を行いました。
本セミナーはオンラインで開催され約160名が聴講され、盛況となりました。
◆ 802.11ah最新プロダクト紹介セミナー
開催日時:2024年9月12日 14:00~17:40
開催場所:オンライン形式
(台湾側はCIAT会議室、日本側はBeMap社会議室をメイン会場として開催)
開催スケジュール
■ 開会挨拶
AHPC 小林会長
・ 今回参加される企業、CIATに感謝を表明された後、今年6月に行われた Computexで台湾の企業様からたくさんの製品/企画の紹介をいただいた。
・ これらを日本のみなさまに紹介することにより、日本における新たなIoTサービスやソリューションが期待され、台湾及び日本の双方にビジネスチャンスの拡大が期待できる旨の挨拶がありました。
■ 開会挨拶
ITRI Robert CMO
・ ALFA networks、AcSiP、AsiaRF、ASKEY、Brickcom、TECHWARE、uConnectを含む7つの台湾企業が提供しているWi-Fi HaLow搭載製品を本日紹介できる。このセミナーは、AHPC 会長の小林氏と森田氏が進行役となり、潜在的な日本のパートナーに台湾製品を紹介することを目的として開催され日本と台湾のパートナーシップを強化できることに感謝する旨の挨拶がありました。
■ ALFA Networks Halow Product Solution and Real Application
講演者:ALFA Networks社 Qz Chen Director
・ Qz Chen 氏より ALFA Networks社の紹介と具体的なソリューションが紹介されました。
・ ALFA Networks社のソリューションには、Wi-Fi、5G、4G、エンタープライズ レーダー、IoT アンテナ等があり、2024年から2026年にかけてスマートホーム、IoT、ネットワークに重点を置く予定であることが説明されました。
・ 具体的には、エッジAIとIoTの統合ソリューション、高所用アンテナとNWアプリケーション、スマートセキュリティとヘルス機。
Q. パリオリンピック会場ではどのように使われ、結果はいかがでしたか?
A. 映像伝送で利用。お客様から、良いフィードバックをいただいています。(権利の関係で詳細は共有出来ず。)
Q. 日本で使えそうなソリューションはありますか? また、日本の認証は取れていますか?
A. Q3FYには取得する予定です。 POCができるのでそのときはリクエストしてください。
■ Innovative HaLow MESH Networking Solutions: Bridging the Last Mile
講演者:AsiaRF Co,. Ltd.社 Ray Yu Brand Marketing Lead
・ AsiaRF社のRay Yu氏よりWi-Fi Halow MESHネットワークソリューションについて紹介がありました。
・ 最初にWi-Fi HaLow無線モジュールが紹介され、製品としてWi-Fiポータブルゲートウェイデュアルバンドの説明とユースケースとしてデータ通信、PPT(音声)を利用したスマート物流、災害救援活動、スマート農業が紹介されました。
・ また、IoT用モジュールを利用した工業用計器、スマートグリッドの利用例が紹介されました。
Q. それぞれの製品はいつ頃日本で使えるようになりますか?
A. 既に導入済みの製品とこれからの製品がありまので、後ほど対応表を共有します。
Q. MM610X-001の厚みは何mmですか?
A. 2.5mmです。
■ Long-range application for 802.11ah WiFi HaLow Camera
講演者:Brickcom Corporation社 Ken Chang Sales Manager
・ Brickcom社のKen Chang氏よりBrickcom社の紹介と実績について説明があった後、Wi-Fi HaLowカメラ、省電力ソリューション、スマートパーキングを中心としたスマートシティプロジェクトの紹介がありました。
・ 小電力ソリューションでは、単三電池3本で3年間利用可能なセンサーや1年間利用可能なカメラの紹介がありました。
Q. Wi-Fi Halowを使った、カメラソリューションの実勢を教えてください。
A. 2024年10月頃に導入される計画です。
■ Wi-Fi Halow Module with E-Paper
講演者:AcSiP Technology Corp.社 Licter Chang Senior Manager
・ AcSiP社のLicter Chang氏は、会社紹介に続けてWi-Fi HaLowのモジュール紹介、ソリューションとして電子ペーパーを活用したバス停広告、物流デバイスをデータ収集ソリューション(ロジスティックタグ)の説明がありました。
Q. Wi-Fi Halowを使った電子Paperの導入実績はありますか? あればどこで見ることができますか?
A. 実績はまだありません。 現在Bluetoothを使っていたがWi-Fi Halowにするように働きかけています。
Q. ロジスティックタグは製品化されていますか?
A. まだ、製品化されてません。 しかし、モジュールはできている年内には市場リリースできます。
Q. 電源は、バッテリーを使用していますか?
A. 当社の製品はバッテリーで動くようにできていて、最低でも3カ月は稼働できます。今後は低消費技術を駆使して1年は使用できるように計画しています。
Q. スマートパーキングの状況はいかがですか?
A. ODMで開発中です。
■ ASKEY 802.11ah solution introduction
講演者 :ASKEY社 Elly Yang Manager
・ ASKEY社のElly Yang氏より、会社紹介に続けてWi-Fi HaLowの製品の紹介がありました。
・ 製品として、屋外カメラ、2024年12月発売予定のWi-Fi HaLow ゲートウェイの紹介とVision X Nextシステムを活用したビデオ監視サービスやアカウント管理などのエンタープライズ管理システムの説明がありました。
Q. Vision X Nextはオンプレミス(on-premises) で使えますか?
A. はい。 AWSでも使用できるようになっています。
■ Developing your 11ah BLE device with HaloBlue
講演者:TECHWARE Technology Co., Ltd.社 Zebra Chen Director及びAlex Cheng Director
・ TECHWARE社のZebra Chen氏及びAlex Cheng氏より、スマート農業などのさまざまなアプリケーション向けに、SBCゲートウェイ、Halo Blue Converter、11ah温度センサーの3つの主要ソリューションの紹介がありました。
・ また、収集したデータをクラウドにあげ活用するケースの紹介がありました。 既存のBLEセンサーを活用することで新たなセンサーソリューションの開発が容易となります。
Q. アドバタイズ通信のセンサーのみのサポートですか?
A. 今回はコネクトの必要ないアドバタイズ通信を使っています。
Q. デモでは、多くのセンサーが接続できていますが、最大何台まで接続できますか?
A. 500台まで可能です。
Q. HeloBlueの価格はどのぐらいを想定していますか?
A. 他のゲートウエイと比べるとHeloBlueの方が安く提供できます。(詳細は個別)
■ New Gen long range wireless network data transmission solution
講演者:uConnect International Co., Ltd.社 Jason Hsu Manager
・ uConnect社のJason Hsu氏は、自社のプロダクトとしてWi-Fi RS-232アダプター、Wi-Fi RS-422/485アダプター、11ah to Ethernet AP、Wi-Fi6+11ah+Ethernet+BLE Gatewayの紹介がありました。
・ また、ユースケースとして病院や工場のリアルタイム監視とデータ分析事例、学校や商業施設での商品のモニタリングなどの紹介がありました。
Q. これから製品化される日本向けのドングル等で、台湾で実績のあるものはありますか?
A. 既にあるものがあります。 これからも出てくる予定もあります。
Q. USBのドングルはありますか?
A. USBシリアル変換が必要になります。
Q. RS232Cアダプタおよび BLEセンサーの値段は?
A. リアルな価格はいえませんが、ご満足いただける価格といえます。
■ SUNMI Hyper Wi-Fi Solution for BIoT
講演者:Shanghai SUNMI Technology Co. Ltd.社 LI XIAOJUN Chief Communication Expert
・ 製品紹介の最後にSUNMI社のLI XIAOJUN氏よりBIoT向けSUNMI Hyper Wi-Fi Solutionの紹介がありました。
・ より広いカバレッジ、信頼性、混雑の少ない周波数範囲を提供ものとしてWi-Fi HaLowの技術を用いており、SUNMI Hyper Wi-Fi MINI APとして説明がありました。
・ 商品としてSmart Payment Terminalや具体的ケースとしてコンサート会場など人が多い環境での利用や金属が多い業務用キッチン内での利用などの紹介がありました。
■ 日本における802.11ahの社会実装に向けたニーズ共有と意見交換
講演者:AHPC(メガチップス社) 林 香織 氏
・ メガチップス社の林氏が日本におけるWi-Fi HaLowの市場ニーズとユースケースについて説明がありました。
・ 日本の様々な産業分野、例えば農業、物流、医療、スマートシティなどにおいてWi-Fi HaLowの活用ニーズがあること、またそれらに対して国内における最新のユースケースとして5モデルの紹介がありました。
・ 商業施設、スマートファクトリー、長距離通信のモデル、スマートシティにおける地下街で通信利用した場合の具体的な内容とその定量的な効果について説明されました。
・ 最後に、Wi-Fi HaLowの市場醸成と拡大に向けた台湾側との協業について説明がありました。
<意見交換/Q&A>
Q. 日本の920MHz帯通信におけるDuty Cycleについて教えてください(台湾サイド)
A. 日本の法律で920Mhzでは1時間の中で360秒未満の送信が許されている。
これが10%Duty と言われるものです。(AHPC鷹取副会長)
Q. ビデオを流す場合は、6分流したら54分止めなければならないのか?
A. そのような方法もありますが、10%送信の条件を細分化することで連続的に画像データを流すことができます。 ビデオ通信では1秒間で0.1秒を送信することで対応していて、この設定でも動画として送ることが可能となっています。(AHPC鷹取副会長)
Q. Band width の拡張の計画について教えてください(台湾サイド)
A. 850MHz周波数を使っていたMCAがいなくなるのでこの周波数を11ahで使用できるよう協議を進めています。
ここでは、7 or 8 MHz幅を使えるように考えています。(AHPC鷹取副会長)
■ 総評
CIAT Peggy氏 (Behave of Robert氏)
・ 本セミナーの開催意義、台湾メーカーの11ahハードウェアの優位性、日本の11ahアプリケーションサービスのリーダーシップが重要でありこの両者のコラボレーションにより11ahの拡大が期待されること、並びに、11月5日に東京にてITRI主催のセミナーが開催されるので是非お越しいただきたいとの挨拶がありました。
・ また、今回台湾から紹介された30近くのデバイスが日本のνLAB.に展示されていることの紹介がありました。
■ 閉会挨拶
AHPC 鷹取副会長
・ AHPC鷹取副会長より、今後も今回のような製品を用いた導入事例を増やし、関係者の皆様と共有していくことで802.11ahの市場をより大きく発展させ、皆様のビジネスがより高いレベルで成功することを期待していること、AHPCとしてもそういった取り組みを積極的に支援していく旨とともに最後に感謝の言葉が述べられました。