802.11ah推進協議会 第8回臨時総会報告

                        802.11ah推進協議会
広報・普及TG 東郷 大輔


2025年4月16日(水)にTKPガーデンシティ御茶の水(カンファレンスルーム2C)にて「802.11ah推進協議会 第8回臨時総会」が開催されました。


本臨時総会は第7回総会でご提案した会費有料化についての会則改定等に関するものでした。
また特別講演には日本電信電話株式会社の川添副社長にご登壇頂きました。

■開会挨拶(16:00~)

 802.11ah推進協議会 会長 小林忠男より挨拶


AHPCは現在日本国内メーカーだけでなく台湾メーカーなど活動に参加してもらっていることに感謝している。2018年の発足以来、802.11ah推進協議会としては

・ 920MHzの制度化
・ νLab開設
・ CIATとの実用的な連携
などを実現してきた。
これから802.11ahは実証実験から実ビジネスへの移行や850MHz帯の獲得など持続可能な活動基板に移行していくことが必要であると考えている。
この様な状況を踏まえてこの度AHPCは有料会員制への移行を決定させて頂いた。AHPCが会員制に移行出来ることは大きな節目と考えており、今後も引き続きAHPCへのご参加・ご協力をよろしくお願いいたします。
また本日は大阪万博展示など大変ご多忙な中、川添様にご講演頂けることにも感謝しております。

■特別講演(16:10~) 

 日本電信電話株式会社 代表取締役副社長 川添雄彦様より
「新たな価値の創造とグローバル サステナブル社会実現/IOWN -802.11ahとの連携-」についてご講演頂きました。


小林会長との出会いはPHS開発時代で、一緒にワンチップLSIによるシステム小型化を実現された。
IOWNグローバルフォーラムは国内外160社以上が参画しているおり、80回以上講演されているほど、ワールドワイドで注目されているとのこと。

国内ICTインフラの拡大による消費電力増加問題については、普及が進んでいる生成AIで1回学習するのに原発1基分のエネルギーを使っており、地球規模でみた時には昨今のテクノロジー進化について改めて見直す必要があるとお考えでした。
この問題に対して川添様は「論理」で表現すると下記になるとお話し頂きました。

・ 質の論理  :Japan品質、Made in JAPANの時代 → ガラケー
・ 数の論理  :中国の多数量低コストが勝利する時代 → スマートフォン
・ 価値の論理 :それぞれの価値観を大切にし、お互いに必要な範囲で利用する時代 → グリーンイノベーション
この「価値の論理」を実現する要素として「光技術」「データ処理」に取り組んでおられます。これは2019年4月に世界初の光トランジスタの発明に成功したことが起源になっているとのことです。
現在光通信と言ってもさまざまな箇所に電気処理で動作しているルーターが入っている為、多くのエネルギーを消費してしまっている。End2Endを光通信のみで接続して、高速・低遅延(定遅延)・低消費電力な通信を実現することを目標に取り組んでおられます。

光通信の実証実験として
・ 大阪 - 東京間をIOWNで接続したオーケストラ合同演奏実験
・ 台湾 - 日本間をIOWNで接続したデータ通信実験
・ 三鷹 - 秋葉原をIOWNで接続したデータセンターリソース共有実験
についてご紹介頂きました。
さらにNTT社が開発した専門性も持った生成AI「tsuzumi」のご紹介も頂きました。

IOWNと802.11ahのコラボレーションにも取り組んで頂いており、北海道で行っている異無線通信間のハンドオーバー実験では、802.11ahも対象にしているとのことでした。
ワイヤレス通信の垣根を超えたハンドオーバーは様々な状況下における低遅延通信を実現することが出来るとお考えです。
さらに今後は基地局機能のDCIとAPN・802.11ahを組み合わせることで低消費電力なネットワーク構築が実現可能というお話も頂きました。

■議事(17:00~) 

会則に従ってAHPC会長である小林が議事を担当し、会則の改定および会費規定の制定についての議事を行いました。


内容説明
第7回に報告した通り、活動の拡大を目的に会費制に移行するために新たに準会員を設ける。会則の変更点については会員様に向けて事前に連絡済みである。
変更点概要
 第2条  目的の条文変更
(現行)  国内利用実現
(変更案) 国内利用拡大
 第3条  活動内容の条文変更
 第5条  準会員を追加
 第7条  正会員・準会員・特別会員についての権利及び義務を条文追加変更
 第8条  入会費および会費について条文追加変更
 第10条 会員資格の喪失について条文追加
 第13条 総会の機能について条文追加変更
 第42条 解任について条文追加変更
 第44条 帳簿及び書類について条文追加変更
附則の変更

また、決算月の関係から、2025年度は半年分の会費となる。
これらの説明を実施した後、本議事は異議なしとして承認されました。

■閉会挨拶(17:20~)

会長 小林忠男より閉会の挨拶。


私は6年以上会長を務めてきましたが、本日会費制になったことはAHPCとして新たなフェーズに移行出来たと捉え、嬉しく感じています。
現在AHPCは4つのTGで活動しています。

① 850MHz帯検討
今まで前副会長である鷹取さんが大黒柱として活動してくれていたが、大学教授になる為に退会されたことを機に新たなメンバーで活動している。総務省に対しては技術側面だけではなくマーケティング側面が必要になっている。
② 広報普及
新たなTGリーダーとしてメガチップス東郷さんに就任してもらった。日本国内における802.11ah普及促進に向けた情報発信を目的に多くの会員様と一緒に活動していきたい。
③ νLab推進
νLab運営は今までNTT-BPさんに対応してもらってきたが、今後はNTT東日本さんが運営してくれることになった。今後より一層魅力あふれる発信拠点へとバージョンアップしていく。
④ 国際アライアンス
現在台湾CIATやWFAと協力して活動している。WFAのHPにもComputex TaipeiやWireless Japanについて記載されている。これはWFAがAHPCを認めた結果です。
今後も積極的に国外グループとの連携を強化していく。

この4つのTGを軸にして新生AHPCとして活動していきますので、引き続き会員の皆様のご協力をお願いします。

■総会・特別講演の後同じTKPガーデンシティ御茶の水にて懇親会も開催しました。

総会に参加頂いた多数の会員様に参加していただき、懇親を深める場となりました。


今回の中締めはAHPC設立初期から11ahチップ搭載PoC開発や台湾との連携などにご尽力頂いている、ビート・クラフト代表取締役社長 竹本様に務めて頂きました。


次回の総会も会員皆様のご参加をお待ちしております。

以上