Computex Taipei 2025 Workshop報告
802.11ah推進協議会
広報・普及TG
2025年5月21日にComputex Taipei会場にて”Sustainable Communications”を掲げたAHPC&CIAT主催によるWorkshop開催しました。
当日のAgendaは下記の通りNTT東日本様やWi-Fi Alliance様など多くの方々に講演・発表して頂き、Wi-Fi HaLowだけでなくWi-Fi全般や無線通信について最新情報を感じて頂ける良いWorkshopとなりました。
また、Wi-Fi Alliance様のご参加は世界的観点からもWi-Fi HaLowの存在価値が認められた事であり、村田製作所様のご参加は日本市場も含めてビジネス展開価値があると認められたことを表していると考えています。
◇プログラム(Agenda)
Time |
Session |
Speaker |
13:30-13:40 |
Opening Remarks |
CIAT/AHPC |
13:40-14:00 |
Wi-Fi Standards Enabling Effective Connectivity-from Innovation to Applications |
Jerry Huang / Managing Director, Wi-Fi Alliance APAC |
14:00-14:30 |
Drive Sustainable Industries with High-Efficiency, Low-Power Connectivity |
Norikazu Watanabe / NTT East General Manager |
14:30-14:50 |
Trends of Green Communication Technologies from Telco Perspectives |
James Lee / VP of EBU, FET |
14:50-15:10 |
Exhibition Booths Exploration & Networking (402a) |
|
15:10-15:30 |
Industry Insights: Sustainable Communication Network Technologies and Applications in the B5G/6G Era |
Jane Chiu / Deputy Director, ICL, ITRI |
15:30-16:00 |
Industry Insights: Wi-Fi HaLow - Overcoming Technical Challenges in Industrial Applications |
Tadao Kobayashi / Chairman, AHPC |
16:00-16:40 |
Solutions Showcase :
~5G O-RAN Integrated with Wi Fi Solutions (TBC)
~Wi Fi HaLow Latest Solutions |
Jyh-Cheng Chen / CEO, Saviah Andy McFarlane/ VP, MorseMicro Frank Lin / VP, Newracom |
16:40-16:50 |
Closing Remarks |
AHPC / CIAT |

●開会挨拶(Opening Remarks)
Robertさんご挨拶
今後はどこでもつながるネットワークが必要な世界になる。
今日ここから新しいことが始まることを期待している。
小林さんご挨拶
CIATはじめ台湾企業にはいつもAHPCをサポートしてもらい感謝している。
本日のWorkShopは世界中から専門の方々が参加しくれている。
今年のComputex会場はAI一色ですが、このAI・クラウドとの通信にWireless通信は必要不可欠であり、Wi-Fi HaLowもその中の1つである。
すべての要求を満たすWireless通信は存在しない。
この場でのLTE-5GやWi-Fiなど様々なWireless通信の情報交換が今後の世界の為になると確信している。
●Jerry Huangさん(Wi-Fi Alliance)
現在世界でのWi-Fiアライアンス加入メンバー構成比率は以下の分布になっている。
America 28%
EMEA 21%
APAC 51%
世代の動向については2024年からWi-Fi7のShipmentの方が多くなっている。
Wi-Fi6については2025年で頭打ちになる。
Wi-Fi Allianceと台湾企業が協力して下記2つの場面でWi-Fi7の実験を行い、良好でかつ実用的な結果を得ることが出来た。
① XRを用いた3D解剖学的可視化評価
② 教室での生徒たち向けStreaming配信
Wi-Fi HaLowについてはMorseMicroやSunmiなどと協力して実験を行っている。
MorseMicroとの実験ではCaliforniaにおいて16kmの通信成功やSunmiとは中国国内において遠隔Printer通信実験に成功している。
通信距離が長くなるとパケットロス率においてもHaLowが優位になる。
500m地点においてはHaLowのLoss率が0%であったのに対して2.4GHzではLoss立が3.29%という結果も出ている。
●渡辺部長(NTT東日本)
最近の経済成長が環境に大きな影響を与えてしまっていることと日本の人口はこの先1900年代と同等まで減少してしまう見込みであることから地域循環型社会の実現を掲げている。
この「循環」には人・お金・エネルギーが含まれている。
Wi-Fi HaLow事業としては農業、EV、自動運転、防災などに取り組んでいるが、いずれにおいても複数の通信を組み合わせることが重要となっている。
集合住宅全体をWi-Fi HaLowでカバーすることでゴミ捨て場や駐輪所の監視や荷物管理などが実現可能となる。
あと上下水道のセンサーリングや映像配信にもWi-Fi HaLowを使用している。
ポンプや機械装置の確認など1日に200項目以上の確認が必要になるが、広い上下水場をWi-Fi HaLowでカバーすることで、大きな労働力削減を実現している。
ローカル5Gの事業においてはトンネルの新設現場においてベテランの運転手がスマートグラスを装着し重機を遠隔操作するシステムでの利用を実現している。
さらに拠点間通信はNTTが注力している光通信IOWNを利用し、遅延の少ない通信を実現している。
製造業においてはフォークリフトの自動運転にローカル5Gを利用している。
このフォークリフト制御を含めてハンドオーバー機能の要望が多くなっている。
デジタルツインの取り組みとして東京駅前三井住友ビル全体を3Dデジタルマップ化し、スターバックスから各自席までコーヒーを届ける実験や道案内ロボットの誘導実験を行っている。
運用されるロボット数が5台以下であれば、Wi-Fiで通信・制御可能であるが、それ以上になると通信量の関係からローカル5Gが必要になる。
さらに韓国の会社と共同で町全体を3Dデジタルマップ化する取り組みを行っている。3Dデータは防災に活かす試みを実施し、さらに次世代サービス利用を検討している。
NTT東ではさまざまな無線通信を利用しており、いち早く新規格に対応した製品を開発してくれている台湾企業に感謝している。
今後もリーズナブルで革新的な製品への取り組みを期待している。
またWi-Fi HaLowに関して今後は通信・製品品質担保に向けた活動を一緒に取り組みたい。
●James Leeさん(EBU&FET)
FETグループは台湾国内において10種類の有益な産業を運営している。
その中の1つにコミュニケーション&インターネットがあり、Consumer、Enterprise&Government、Device、Digital Serviceに分けて取り組んでいる。
またCarbon Footprintを減する取り組みを精力的に進めており、2050年には0に近い値を目標にしている。
電力効率においてMIMOを使用することで2.2倍の効率向上を実現しUEbeamdを追加するとさらに5倍以上の効率向上となる結果を得ている。
●Janeさん(ITRI)
ITRIではネットワークのエネルギー削減を目的としてキャリアON/OFFのスイッチ制御やRFチャンネルの再構築などを取り上げて台湾3か所でGreen Networkingの実験を行っている。
今後グリーンなネットワークを構築する為の手法としてHybridパワーセーブ、Energy Storage Integrationなどの活用を進めている。
また干渉を減らすことはグリーンエネルギー化にとっても重要な要素である。
新たな基地局を作ることなく6Gのカバレッジを確保することを目標としている。
●小林さん(AHPC)
Wi-Fiは現代では不可欠な存在であり、特に若い人はWi-Fiファーストになっている。
さらにWi-Fi HaLowは既存Wi-Fiの不足する特徴を補完する存在でもある。
①長距離通信
②低消費電力
③ビデオ通信可能
④IP通信可能
⑤ライセンス不要
Wi-Fi HaLowは今までつながらなかった場所、つながらなかった物をつなげる革新的な通信である。
AHPC会員メンバーは約200社になり、日本でも商用導入が進んでいる。
Wi-Fi HaLowを使うことで今後労働環境や生活がより豊かに変化していく。
(農業、工場、公共機関、防災におけるユースケースの紹介。)
日本では850MHz帯域におけるHaLow利用検討が進んでいる。
850MHz帯ではDuty制約の撤廃、出力強化など920MHzでは実現できなかったことが実現できるようになり、日本の環境を大きく変える通信になることを期待している。
スマートフォンにHaLow機能を搭載することで、LTE通信とは別でドローンやロボットや街路灯など距離の制約を受けることなく多くのものを制御する未来が実現されるかもしれない。
Wi-Fi6/7はPC、VR、ARで使用され、HaLowはセンサー、IoTデバイスで使用されているが今後この2つが融合されると考えている。
この3年間CIATとAHPCで普及・販売するための活動を進めてきた。
今までの活動を元に今後はAHPC、CIATで協力してさらにアジア全体にHaLowを広める活動を実行していきたい。
●jyh-Cheng Chenさん(Saviah)
NEF、N3IWF、TWIFのご紹介。
●Andy McFarlaneさん(MorseMicro)
1.2km、21dBm、BW8MHzでのカンガルー同士のケンカの動画紹介
スマートメーターではバッテリー駆動が必要となり、これが課題である。
アメリアの農場ではまだ28%以上がpoorもしくは全くネットワークがない環境であるがオーストラリアではすでに40%以上の農家が新しいデジタルテクノロジーの導入を進めている。
新チップであるMM8108のTrasmit Efficiencyは他社が11%以下であるところ37%という業界最高の特性を実現している。
今後のスケジュール
7月 山梨でWFAとの実証実験予定
8月 MM8108搭載モジュール発売予定
9月 日本向けUSBモジュール発売予定
●Frank Linさん(Newracom)
村田製作所とはグローバルパートナーシップを結んでいる。
SUNMIからは最新のIoT製品が発売されている。
2016年にFPGAで初めてHaLow機能を実現し、2019年にFirstSoCを開発し、802,11ahを牽引してきた。
今後はシームレスな通信が重要になる。(Wi-Fi、セルラー、LPWA、GPS)
Newracom2.0として
FOCUSING on PRACTICAL USABILITY in REAL ENVIRONMENTSを掲げる。
今後はさらにAntenna自動スイッチやマルチキャスト通信を提供していく。
世界でのBandwidthの使用率は下記になっている。
1MHz:20%
2MHz:70%
4MHz:10%
代表的なユースケースを挙げるとすると下記になる。
industry
Access Control
Medical
Other
●Mickeyさん(SUNMI)
Android採用のFlagship製品を発売した。
今後はメッシュがなくてもネットワークが可能になる。
3つのキーワード!!
SUNMI、HyperWi-Fi、Wi-Fi HaLow
● 閉会挨拶(Closing Remarks)
小林さんご挨拶
今日のチップメーカー、製品会社、NTT東日本の話を聞いて私の人生2勝1敗で終れるように感じた。(勝:Wi-Fi、HaLow 負:PHS)
またWi-Fi AllianceのJerryさんから「2025年末まで802.11ah製品に対するWi-Fi AllianceのCertificate取得にかかる費用を免除する」というサプライズ発表もありました。
Robertさんご挨拶
3年前にはWi-Fiの話題に11ahは含まれていなかった。
1kmでローパワーでのコミュニケーションは革新的であり、どこでもいつでもコミュニケーションが取れる世界の実現に必要不可欠である。
また当時は会場後方に4社の製品展示もあり、情報交換の場になっていました。