Wi-Fi HaLow Development Forum 2026

802.11ah推進協議会
広報・普及TG

2026年6月4日にCIATオフィス内の会議室にてWi-Fi HaLow Development ForumをCIATと共同で開催しました。

当日は以下のアジェンダにもある通り、NTT東日本様やWi-Fi Alliance様によるご講演に加えて、先日台湾で実施された850MHz帯Wi-Fi HaLowトライアル試験の報告や参加者が自由に発言していくパネルディスカッションが実施され、関係者間で今後のWi-Fi HaLow市場を見据えた活発なコミュニケーションの機会となりました。

◇アジェンダ(資料のダウンロードは、右端「DL」の〇をクリックしてください)

Time Session Speaker DL
13:15-13:30 Reception
13:30-13:40 Opening AHPC / Kobayashi-san CIAT / James Lee
13:40-14:05 Keynote①: 920MHz Wi-Fi HaLow Business Reality NTT East /Watanabe-san
14:05-14:25 Keynote②: Global Wi-Fi HaLow Ecosystem Wi-Fi Alliance / Jerry Huang
14:25-15:05 Core Session: Taiwan 850MHz Trial Report 1.Trial Overview 10min CIAT 2.Technical Findings 15min  CIAT/AHPC 3.Development Implications 15min AHPC ITRI
AHPC
15:05-15:45 Breaktime / Solution Demo
15:45-16:20 Eco System Pitch Session - HaLow Products / AI/IoT Use Cases / New Services Browan Communications
Quanta Storage
TECHWARE
UConnect International
Wha Yu Industrial
日本ケーブルラボ
ビート・クラフト
16:20-17:10 Panel Discussion: Wi-Fi HaLow Market Expansion Topics: ・What’s next for the 920 MHz market? ・What changes will 850 MHz bring? ・AI/Robotics and Wi-Fi HaLow ・Japan-Taiwan Cooperation NTT East, Wi-Fi Alliance CIAT, AHPC Chipset Makers 850 MHz Trial Participating Companies
17:10-17:30 Closing Remarks CIAT / AHPC

● 開会挨拶(Opening)

小林さんご挨拶

IoTで言われるモノとモノ、人と人を繋げるのがWi-Fi HaLowの役割だと思っている。ITやコンピューターの歴史は、大型計算機 → PC → クラウド → エッジコンピューティングの流れのように「中央集権」と「分散」を交互に繰り返してきた。Wi-Fiの世界もこれまで高速化(Wi-Fi 6/7/8)をひたすら追求してきたが、その流れを見直してHaLowで皆様と新しい市場を切り拓き、一緒に取り組んでいきたいと考えている。


James Leeさんご挨拶

前日のワークショップには多くの方が参加し、それぞれがユニークな話題を共有しましたが、今年は特に3つの大きな進展が見られた。1つ目は、人々はユースケースを基に活動を始めるが多くのパートナーがユースケースを共有し実際には10以上のユースケースが生まれている。2つ目は、CIATとAHPCが850MHzのトライアルで共同し大きな成功を収めたこと。3つ目は、エコシステムが成熟していること。すべてのシステムが成熟し、市場規模が経済的な規模に達すれば、技術面だけでなく価格も下がると信じている。そして、市場が間もなく動き出すことをとても嬉しく思う。


● 渡辺部長(NTT東日本)

このフォーラムには4回参加させていただいているが、毎回お話をする機会をいただけることに感謝している。また、Wi-Fi HaLowの普及は台湾企業の協力なしには成り立たないものだと思っており、深く感謝している。
NTT東日本では農業、防災、交通等の地域課題に対し、IoTセンサーやカメラ、最近ではロボティクスやデジタルツインを様々な無線通信と組み合わせることで解決していくことに取り組んでいる。HaLowに数年取り組んできて、Wi-Fi HaLowが適しているゾーンは想像以上に広いことを強く感じおり、既に実証からお客様が実際に使われるケースになってきているような事例をご紹介させていただく。
ローカル5Gの事例
① 車両センサーとスマートポールからの情報によるより安全な自動運転
② 3Dデータを活用した東京ミッドタウン八重洲での配膳ロボット向け通信
Wi-Fi HaLowの事例
① アパート・マンション内のごみ捨て場、駐車場・駐輪場の監視
② 熱海での湾岸付近の道路監視
③ 水道プラントでのインフラ点検
④ 山形・長井市での河川モニタリング
⑤ 三浦半島での防災無線システム
850MHz帯が利用できるようになれば、帯域も増えるため、街全体をカバーするような基幹システムを他の用途でも利用していく取り組みも、2つ、3つと用途を増やしていけると考えている。いよいよHaLowを実際の街づくりに利用していく時代が来ているが、今後は求められる品質とサポートのレベルが上がってくると思う。特に、通信の機能だけでなく、機器監視やファームウェアの更新など機器のマネジメントが大事になるフェーズに入ってきている。我々が持つノウハウを皆様にもご提供していき、台湾企業の皆様とも協力していきながら良いものにしていきたいと考えている。


● Jerry Huangさん(Wi-Fi Alliance)

Wi-FiはIoTの市場シェアの32%を占め、様々なアプリケーション、異なる環境の多用途で活用されている。その中でWi-Fi HaLowはIoTを念頭に設計された技術で、これまでのWi-Fiとは異なる特徴を生かし、より多くのアプリケーションで利用されるようになり、2029年には1億台のWi-Fi HaLowデバイスが出荷されると見込まれている。
海外のWi-Fi HaLow導入事例
① 産業用電力・センサー展開
② カメラと土壌センサーによる農業・遠隔監視
③ 道路監視によるスマートシティ
④ 大規模イベントと商業施設・レストランでの活用
また、わかりやすい導入事例として、150m×150mの大規模倉庫内をこれまでWi-Fi 6のアクセスポイントを40台でカバーしていたところ、Wi-Fi HaLowでは1台のアクセスポイントのみで安定したネットワークを構築できた。オフィスビルでは、3000人以上が働く6階建の合計12000㎡にもなるエリアで平均速度1.97Mbpsの安定した接続を実現している。このように多くの活用事例を紹介させていただいたが、これらはまだ一部に過ぎない。今後も世界中で進展があると考えており、Wi-Fi HaLowの広がりを非常に楽しみにしている。


● Alanさん(ITRI)、竹本さん(AHPC)、川地さん(AHPC)

CIATとAHPCの共同により、台湾において850MHz帯Wi-Fi HaLowのトライアル試験が実施された。本トライアルは、以下に示す実証フェーズ1およびフェーズ2で構成され、約1.5kmから2kmの長距離において安定した通信が維持された。さらに、見通しのよい環境では最大2.4kmに達する結果も得られた。これにより、漁業や農業分野における高齢化や人手不足といった課題の解決、SDGsへの貢献、地域経済の活性化に資する社会的意義が確認された。今回のトライアル試験は、単なる技術検証にとどまらず、新たなグローバルWi-Fi HaLowエコシステムの始まりを示すものと考えられる。
Phase 1(基準検証):ITRI(工業技術研究院)キャンパス内でのベースライン評価。
Phase 2(実環境検証):竹北市(Zhubei)の沿岸養殖場、および台南市(Tainan)の広大なオープン農地(米作農場)の2拠点における実環境評価。
本トライアルにより、850MHz帯は単に通信カバレッジを拡大するだけでなく、少数のAPで広範囲をカバーでき、シンプルなネットワーク展開が可能であることが確認された。これにより、インフラコストの削減や運用の簡素化にも寄与できる可能性が示された。これまでのWi-Fiは、オフィスやカフェなどにおける「スポット接続」を主な用途としてきた。しかし今後は、農場、工場、建物全体、道路などを広域にカバーする「スペース接続」へと進化し、社会インフラの一部として利用される時代が到来すると考えられる。さらにAI時代においては、人だけでなく、ロボット、機械、センサー、車両など、多様な「モノ」が接続される。そのため、広範囲をカバーし、かつ低消費電力で運用できる通信インフラの重要性は一層高まっている。850MHz帯は、単なる新たな周波数帯ではなく、衛星通信、セルラー通信、高速・高密度Wi-Fi(Wi-Fi 7/8)と並ぶ新たな通信レイヤーとして、AI時代の物理空間をつなぐ基盤になると考えられる。


● Browan Communications

当社は単なるデバイスプロバイダーではなく、Wi-Fi HaLowを核としたエンドツーエンドの監視・制御ソリューションを提供し、質の高い成果を生み出すことを目指している。そのためにAWSクラウド、HaLow対応ゲートウェイ、各種ワイヤレスI/Oハブ、そして豊富なセンサー群を組み合わせたシステムを構築した。これにより自動化、ビル管理、物流などにおいてシステムインテグレーションや企業が様々な分野への導入が容易となる。

● Quanta Storage

以下の製品を始めとする高帯域・高速通信のWi-Fi 7と長距離・高障害物透過性のWi-Fi HaLow を組み合わせた次世代の産業用・AIoTワイヤレス通信ソリューションを提供している。この強みを生かし、例えば、走行する移動ロボット(AMR/AGV)の運用において、仮にWi-Fi 7の接続が切断されても、自動的にWi-Fi HaLowに切り替わり、別のゲートウェイを通じてロボットの接続・制御を維持し、Wi-Fi 7の信号が回復すれば、シームレスに自動で元に戻るため、現場の通信が途切れることなく利用可能である。
・IW-3240H
Wi-Fi 7 + Wi-Fi HaLowのデュアル対応エッジゲートウェイ。10G SFP+ポートを搭載し、超高速なバックボーンネットワークや携帯電話ネットワーク、現場のシステムに大容量・高速で接続可能。
・GD-3100H
Wi-Fi HaLow専用の産業用IoTゲートウェイ
・GD-3100H-U(USBドングル型)
PCやタブレット、産業用PCに接続するだけで、非接触かつ簡単にHaLow通信を可能にし、誤操作を防ぐ。

● TECHWARE

Wi-Fi HaLowはIoTに非常に適していると考えており、すべてのデバイスで顧客やユーザーがHaLowを使いやすくするためにArduinoで誰でも手軽かつ迅速にWi-Fi HaLowの試作開発ができるHaLowShieldを提供している。これにより、顧客が低レイヤーのレジスタや802.11ahプロトコルを深く理解していなくても、提供されるカプセル化されたWi-Fi HaLowライブラリや簡潔なATコマンドを使うだけで、非常に簡単に通信プログラムを構築できる。また、ボード上には温湿度、動体、光、アナログ/デジタル、SPIカメラ用のコネクタが備わっており、多様なセンサーをDIY感覚で素早く接続・テストできる。このように、HaLowの導入ハードルを大幅に下げるソリューションを提案している。

● UConnect International

1. Wi-Fi HaLow シリアルアダプター
概要:産業用機器(CNC、センサー、医療機器、RFIDなど)のシリアル通信(RS-232、RS-422/485)を無線化(Wi-Fi HaLowおよび2.4GHz Wi-Fi)するアダプター
接続例: スマートフォン、PC、ルーター経由でのクラウド、またはアダプター同士の1対多(最大12接続)のTCPクライアント/サーバー通信に対応
仕様: Webブラウザからの設定が可能で、5〜40 VDCの電源入力に対応
2. インターネットブリッジ & Wi-Fi HaLow リピーター
概要:Wi-Fi HaLowと有線LAN(Ethernet)を相互変換するブリッジ機器
接続例:シリアルアダプターからのデータをブリッジ経由でルーター・クラウドへ転送。ネットワークカメラ(IP CAM)などのネットワーク機器を有線LANからWi-Fi HaLowへ無線化してクラウドへ接続。
3. サブメートル級の測位システム(AoAロケーター/ゲートウェイ)
概要:角度到達方向(AoA)技術を用いた1メートル未満の誤差で位置を特定するリアル
タイム位置情報システム(RTLS)。
構成: AoAロケーター、ビーコン(AoAタグ)、他社製ウェアラブル端末、およびこれらを統括するゲートウェイで構成され、Wi-Fi HaLow、Ethernet、LoRa、LTE、5G等を通じてモニタリング・制御プラットフォームへデータを送信。専用の「AoA 3D Viewer」による3次元の位置確認も可能。
4. RTLS(リアルタイム位置情報システム)ゲートウェイ
概要:センサーやタグからの情報を収集・制御する次世代ゲートウェイ。
対応デバイス:ウェアラブル端末、置き忘れ検知、パニックボタン、温度・湿度・空気質(AQI)センサータグなどの様々なBeacon端末と連携し、追跡やメッセージ送信、電源スイッチの制御を行う。

● Wha Yu Industrial

当社は40年以上の歴史を持つ高周波(RF)およびアンテナ技術の老舗企業で、台湾に本社、中国やベトナムに開発・生産拠点を持ち、オーディオサービスや中国市場での豊富な実績を持っている。近年はWi-Fi HaLowに注力し、産業用ルーターおよびコンバーター製品群を提供している。自社の高いアンテナ技術を生かし、海岸沿いの見通し環境での通信テストでは、2.04kmでAPとSTA間で約9〜10Mbpsの安定したスループットを記録した。この結果から、インターネットの安定性とアンテナによる空間的な改良は通常製品にも組み込まれるべきであると考える。
・MOI4231(産業用屋外向けLTE HaLowルーター)
LTE CAT-4とWi-Fi HaLowを組み合わせ、過酷な屋外からでも安定したクラウド接続や遠隔管理を実現可能。 IP67規格の防水・防塵性能で、863〜930MHzの広帯域アンテナにより日本・米国・欧州の各規制に対応。
・MII42A1(産業用 屋内向けLTE ゲートウェイルーター)
デュアルバンドWi-Fi(2.4GHz/5GHz)に加え、RS-232/RS-485、DI/DOポート、デュアルMicro SIMスロットを搭載。
・CII0031(RS485/RS232 HaLowコンバーター)
既存の古いセンサーやコントローラーのRS485/RS232プロトコルをネイティブにWi-Fi HaLowネットワークへ変換し、手軽な遠隔監視を可能にする。

● 日本ケーブルラボ

・日本のケーブルテレビ(CATV)市場の現状
日本には約624のCATV事業者が存在し、全世帯の52%にあたる5600万世帯に普及している。地域差もあり、例えば徳島県では普及率が93%に達する。テレビ放送だけでなく、インターネットや固定・IP電話など、地域の重要インフラとして多様なサービスを提供している。ケーブルテレビ事業者は最大手のJ:COMをはじめ、イッツコムや電力会社系事業者が上位を占める。業界は「日本ケーブルテレビ連盟」「日本ケーブルラボ」「ケーブルテレビビジネス協会」の3団体で支えられており、日本ケーブルラボは主に技術規格化やサポートを担っている。
・Wi-Fi HaLowを活用した実証実験と成果、今後の展開
2025年に総務省の実証事業として、無線やAIを活用した地域課題解決に取り組み、Wi-Fi HaLow(920MHz帯)とセンサー・カメラを組み合わせた実証を行った。250mの距離でカメラ映像(3fps)の伝送実験を行い、映像の劣化や差がほとんど見られないほど、対象をしっかり識別できる問題のない画質での伝送に成功した。CATV事業者へのアンケートでは、既存の920MHz帯は混信等の懸念から導入が難しいという意見があったが、今後利用可能になる850MHz帯に対しては非常に高い期待が寄せられている。2026年は、この850MHz帯のWi-Fi HaLowを用いた実証事業を予定しており、1.5kmの長距離画像伝送に挑戦し、3台のパン・チルト・ズーム遠隔操作カメラを設置し、スマートフォン等への画像伝送を行う計画である。

● ビート・クラフト

現在取り組んでいるプロジェクトを紹介する。
① 独自のWi-Fi HaLow製品
スタンドアロンモードで動作する、単一カメラ連携向けの独自通信スタックを開発。現在はiPhone、Android、Linuxデバイスと相互に接続・通信が可能。
② Wi-Fi HaLow搭載のEdge AI駆動ドローン
大規模言語モデルやChatGPTを活用し、ユーザーが日常の言葉で指示を出すだけで、ドローンの出力制御や対話が可能。フロントエンドデータを全デバイスで効率的に活用することで、システム全体のメモリ使用量や大規模ノードにおける運用コストを大幅に削減可能。
資金提供に協力してくれる財務パートナー、量産のためのパートナー、そしてビジネス開発のためのパートナーを探しており、また、ソフトウェアやその他の知的財産のライセンス提供も受け付けている。

●  パネルディスカッション

小林会長の司会のもと、4つのTopicsに沿って意見交換が行われ、日本・台湾・アメリカ等の通信事業者、チップベンダー、業界関係者それぞれの視点から本音の議論が交わされました。

1. 920MHz帯市場の次なる展開(What's next for the 920 MHz market?)

すでに商用化されて4年が経過し、多数のプロジェクトが動いている920MHz帯市場の現状と、今後の加速に必要な要素について議論された。
・現状の課題と限界:
o 現状の920MHz帯は、同一帯域を利用するLoRaなどの他方式からの電波干渉が非常に大きく、LoRa等はキャリアセンスを行わずに送信を続けるケースがあるため、空き時間を待って送信するWi-Fi HaLowが通信不能になる事例がある。
o 日本市場において義務付けられているデューティサイクルによる制限や、送信パワーの限界から長距離伝送において制約があると思う。
・市場拡大に必要なアプローチ:
o 各企業が個別に単独で営業をかける「一騎打ち」の状態では市場開拓に限界があり、非常に苦労している。
o 今後は、「業界団体(AHPC等)を通じた組織的なリソースの投入と広告・市場プロモーション計画」が必要不可欠である。個社の技術的価値をビジネスに変え、業界全体で「お金を稼げるエコシステム」を早期に構築することが求められていると。
o 都市部を中心としたスマートセンサー市場など、制約をクリアできるユースケースでの実績を積み重ね、そこから波及させていくべきである。

2. 850MHz帯がもたらす変化(What changes will 850 MHz bring?)

今後、日本で制度化が期待される新規周波数帯(850MHz帯)が市場に与えるインパクトについて期待が寄せられた。
・クリーンな電波環境と通信性能の向上:
o 既存の混雑した920MHz帯に比べ、850MHz帯は非常にクリーンな帯域として利用できるため、干渉問題が大幅に改善され、より安定した確実な伝送が可能になると期待している。
o 送信パワー(出力)をより高く設定できる見込みがあり、通信距離のさらなる延伸や、スループット(通信速度)の向上にも期待。
・現在のグローバルシリコンの強み:
o 現在流通しているWi-Fi HaLow用チップはグローバルスキームに対応しており、920MHz帯と850MHz帯の両方の周波数で動作可能。そのため、事業者は将来の850MHz帯開放を待ってから動き出す必要はなく、今日から920MHz帯で開発・実装をスタートし、法制度が整い次第スムーズに850MHz帯へ移行・拡張すべきだと考える。

3. AI / ロボティクスとWi-Fi HaLow(AI/Robotics and Wi-Fi HaLow)

具体的なAI技術そのものの詳細よりも、AIを活用した「スマートビルディング」「スマートシティ」などの特定市場へのWi-Fi HaLowの組み込みとプロモーションの重要性にフォーカスされた。
・他方式との比較とコストの壁(台湾電信事業者の視点):
o 4G/5G、NB-IoT、固定回線など様々な通信手段を持つキャリアの立場からはWi-Fi HaLowは競合ではなく適材適所での使い分けとして見ている。
o 例えば、1つの建物内に2万個のセンサーを配置する巨大なスマートビルディングの案件では、既存の建物にLANを引くのは不可能。4GやLoRa、Wi-Fi HaLowなどを組み合わせたハイブリッド工法が検討されるが、最も重視されるのはトータルコスト。デバイス数が増えた際に、1点あたりの通信コストや月額費用をいかに抑え、顧客が受け入れられる提案ができるかが普及の鍵となると考える。
・異業界への積極的なプロモーションによる認知拡大:
o 現在のWi-Fi HaLow関係者は同じ身内だけで集まりがちであるため、今後は異なる業界の展示会(工業展、スマートビルディング展、スマートシティ展など)へ積極的に飛び込んでいく必要がある。
o 「Wi-Fi HaLowに何ができるのか、どんな利点があるのか」をエンドユーザーに直接理解してもらうプロモーション活動こそが、現在のフェーズで最も重要である。

4. 日台協力の展望(Japan-Taiwan Cooperation)

日本市場での高い認知・ニーズと、台湾メーカーの持つ優れたハードウェア開発力を融合させるエコシステム構築の重要性が議論された。
・日本における明確なユースケースと爆発的需要への期待:
o 日本国内では「道路の監視」「施設の巡回点検」といった使用場面において、Wi-Fi HaLowが最も効果を発揮するという認知・理解が進んでいる。
o 日本は労働人口の減少が深刻であり、省人化・高品質サービス維持のための需要は、今後間違いなく爆発的に増加すると確信している。
・最前線のニーズを台湾メーカーの生産力へ繋ぐ:
o 日本の事業者は最前線で顧客の多様なニーズや仕様を聞き取る役割を担っている。このフィードバックを適切にサプライヤーへ返し、製品開発・生産につなげる一気通貫の流れを構築することが重要。
o 強力なエンジニアチームを持つ日本の事業者・協会と、台湾のハードウェアメーカーが密接かつ高密度な協力関係を築き、市場を共に開拓していく必要がある。